会津酒造と大阪屋酒店のコト
一緒に食事をしているとき、純粋でまっすぐな瞳で彼は言う。
「僕は和三盆のような甘さの酒を醸したいんです。」
7、8年前いつものように試飲会に出かけた。
”量に勝る質はなし”とばかりにこの日も一心不乱に飲んではメモ。飲んではメモ。
その中でひときわ若い蔵元がいた。
業界は酒販店、蔵元ともに年長者が多く、当時私は20代半ばで経験浅と若造感を全身から垂れ流していたのか常に諸先輩方に手首をひねられ肩身の狭い思いをしていた。
そんな中での、若い蔵元に親近感がふわりと湧き、吸い寄せられるようにブースに向かった。
ブースの掛札には「『会津酒造』聞いたことないな。」
少し遠めだったためラベルのブランド名を確認する。
ブランド名は・・・
「ん?見えない。」
なぜならラベルは小さくその小さいラベルにさらに小さく申し訳程度に端っこに『山の井』と書いてあった。
「え?何?ミスプリ?」
百聞は一飲(見)にしかず!
試飲。
控えめな香りで沈み込んだ甘みのある吟醸香。口に入れるとフワッと甘さが口内に優しく広がる。
「よくある甘口の酒か・・・。フッ!アディオス!アミーゴ!またどこかで会おう!」
と思いきびすを返そうとしたその時、
「あれ?甘みが消えとる・・・。」
芳醇だった甘さが消えてなくなり口には最初から何も入っていなかったようになにもない。
「俺、今甘口の酒飲んでたよな?」
慌てて言った。
「すみませんもう一杯。」
そしてもう一口。なるほど!!こういうことか!!
口に入れた瞬間は優しい甘さで包まれるが、その甘みがこれまた優しくほどけるようになくなっていく。こんな甘口の酒飲んだことが無かった。まさに和三盆のような上品で優しく気品のある甘み。
是非お名刺をいただきたいと名刺交換をお願いし、ほどなくしてお付き合いさせていただくことになった。
最近はさらに甘みのキレに拍車がかかり上品さが増した。
ぜひ彼の醸すお酒の証人になっていただきたい。
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:蔵元の渡部慶太社長
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