玄葉本店と大阪屋酒店のコト
あぶくまを飲むとある司会者タレントを思い出す。
平日の昼、12時~13時に約32年間続いた超長寿テレビ番組があった。
その時代時代の芸人から文化人まで旬なスターたちが毎日入れ替わり立ち替わり華やかにいろいろな企画をこなすまさに『芸能人幕の内弁当番組』。
アクの強い輝く個性たちをぶつけ合わせながらもその司会者タレントが緩衝材や潤滑油となり全体がまとまり一つの番組として成立していた。
「『あぶくま』とはどんな酒ですか?」
とお客様から聞かれたときに『〇〇〇氏』と言わず私はこう答える。
「味の正五角形です。」
数多と酒を飲んできた中で、お酒を表現する際、ここまで腑に落ちるボキャブラリーもまれだった。我ながらいい表現だ。
香りは出しゃばらず、甘味も強すぎず、酸も効きすぎず、苦味も出すぎず、辛さすぎない。
まさにベストバランスの極致
だからこそあわせる食事はなんでもござれ。
最近は日本酒業界も芸能界さながらに個性の強いお酒が脚光を浴びている。ブンブンの香る酒。ワインのような酸を感じる酒。果物のような甘酸っぱい酒。貴醸酒のような甘~い酒。食事においてもまさに主役級のお酒たちだ。そんなスター役者のようなお酒を好む人たちには玄葉本店が醸す『あぶくま』のような酒は言い方を間違えると個性のない酒ととらえられかねない。
しかしあえて自分の個性を出さず、印象を残さず、あくまでも食事を引き立て、食卓を盛り上げる脇役に徹する『あぶくま』といういぶし銀が私に深い印象を与えるのである。
蔵元杜氏の玄葉氏よると、
「流行りに流されず、厚化粧せずすっぴんで、料理に寄り添いながら肩の力を抜いて自然体で、飲んでホッとできる酒を醸し続けたい。」
とのこと。
そんな蔵元自身は都内の一流大学を卒業後、一流企業に就職し無双エリート街道から脱サラののちに実家を継ぐという大クセ蔵元である。
あぶくまご購入はコチラ
:蔵の外観
:お酒を絞る槽(ふね)
:醪管理を行うタンクたち
0コメント